比率分析、リトレイスメント

比率分析

基本形

比率分析、基本形

比率分析、基本形

「比率分析」とは・・・、ひとつの波のほかの波に対する「①時間」と「②大きさ」の比率関係を分析することである。

基本形といってよいのかどうかはわかりませんが、5波で上げて3波で下げるというエリオットの根幹のルールに従えば、上図のようなパターンが基本になると思います。勿論このような単純なパターンはほとんど見られないそうですが、この状態でも既に、0.6は戻すということになっています。

株価が黄金比率の関係に従おうとする大きな傾向は常に存在し、それがそれぞれの波を「正しい姿」にする一因となっている。』

波動原理においては、フィボナッチ比率の関係になっている波が「正しい姿」なのです。逆に、フィボナッチ比率を見い出せないのであれば、正しくない姿の波なのでしょう。

参考:株式相場の動きは、黄金比率に支配されている。|波動原理の構成におけるフィボナッチ数学

ちなみにダウは、3/8(0.375)以上は戻すということでした。波動原理に比べるとかなり控えめです。

参考:チャールズ・ダウ|「エリオット波動入門」書籍

大きさ

フィボナッチのイメージ

フィボナッチのイメージ

平均株価の動きを何年にもわたって追った結果、ほぼすべての波の「大きさ」において、「近隣の波」、「交互の波」、「副次波の大きさの関係」がフィボナッチ数の比率になっているという確信が得られたそうです。

結局は常に、如何なる波に対しても、フィボナッチを意識しておかなければいけないということですね。ただそうするとキリがないわけですが、それぞれの波について、発生しやすいフィボナッチ比率の傾向はあるのでしょう。

時間比率

「フィボナッチの時間比率」は、それほど頻繁に見られるものではないそうです。

考えてみれば、時間(横軸)というのは一方的に右に、規則正しく伸びるだけです。大きさ(縦軸)のように戻るとかバイアスが変動するとかはないですから、根本的に縦軸とは違うように思います。

参考:フィボナッチ時間級数

ロバート・レア(偉大なダウ理論家)

1896~1932年の36年間の(ダウ工業株平均だけを考察)、9つの強気相場と9つの弱気相場についての概要をまとめました。延べ日数1万3115営業日のうち、強気相場は8143日、弱気相場は4972日だったそうです。比率的には、強気相場の61.1%が弱気相場です。

単純に陽線と陰線の数を数えただけのことなのかどうかはわかりませんが、資料がないため検証の仕様がありません。理屈的には、いつの時点の、どのような時間軸のチャートを切り取ったとしても、その比率は61.8%の近似値にならないとおかしいですよね。ただしこれはレアの見解であって、エリオットや著者の見解ではありません。

※陽線と陰線の数というのは違いますね。ローソク足は使ってなかったでしょうから。

レアの見解

レアの見解

引き続き、実際の数値を基に例示しているのですが、恐らく上図のようなことを言っていると思われます。チャートなどの資料の記載がないため、何時のどの部分についてなのかは不明です。フィボナッチを知らずに検証した結果が、偶然にもフィボナッチに一致していたということです。

比率分析とは

波の間にしばしば起こる、いくつかの正確な価格の関係を明らかにすること。

  1. リトレイスメント
  2. 倍率

この2つが具体例として挙げられています。「時間」は関係なく、ここでは「価格(縦軸)」だけのことのようです。今回はリトレイスメントのみ、倍率は次回以降学習します。

参考:推進波の倍率修正波の倍率

比率分析

  1. 時間比率
  2. 比率分析(リトレイスメント、倍率)

一応上のように覚えておきます。

リトレイスメント

修正はそれに先立つ波のフィボナッチ比率でリトレイスすることが多い。

「・・・ことが多い」、ですから絶対ではないにしても十分尊重すべきだと思います。

「先立つ波の」というのはこの書籍(「エリオット波動入門」)中度々登場する文言で、直接関連する波のことと私は解釈しています。フィボナッチの始点を、そのときにチャート上に見える単なる高値安値としてしまうのは理屈が成り立ちません。段階を揃えるというか、同じ段階内での比率になるのではないかと思っています。

参考:第5波に先立つ波が、あまりにも早く遠くに行き過ぎた場合に、第5波で起こるパターンである。|ダイアゴナルトライアングル(ウエッジ)

参考:オーソドックスな天井と底

参考:波形の分析は比率関係の重要性に勝る。|比率分析の応用

急こう配の修正(ジグザグ系)

急こう配の修正のリトレイスメント

急こう配の修正のリトレイスメント

急こう配の修正では、特にそれが衝撃波の第2波、より大きなジグザグのB波、または複数のジグザグのX波で起こるときは、よく前の波の61.8%または50%までリトレイスする

修正波は勾配型と横ばい型の2種類しかありません。ジグザグは勾配型で、角度が急で戻しも深いです。どうして深くなるかというと、前トレンドの影響をまだ受けているからだと思うのですよね。しかしカウント的には新しいトレンドが始まっています。丁度トレンド転換のときに出現する修正波だと思います。衝撃波の第1波、第2波、第3波と中身は同じであり、そのような前トレンドの影響というのを感じておきたいです。

衝撃波の第2波

衝撃波の第2波のリトレイスメント

衝撃波の第2波のリトレイスメント

ここでは書かれていないのですが、修正波の深さのチャプターで、「ときにジグザグが深く切れ込み、より小さな段階の第2波の領域に下落することもある」というダブルボトムの説明があります。第2波限定です。

参考:ダブルボトム|修正波の深さ

急こう配の修正にはどのようなものがあるのかは、以下で私なりにまとめています。

参考:衝撃波の第2波が「急こう配」の修正となるときは、その第4波は「横ばい」の修正になると予想される(逆も同じ)。|オルターネーション(交互)の法則

リトレイスメントとバイアス

リトレイスメントとバイアス

チャートを見ていてふと思ったのですが、黄金比率の「0.618」を軸とすれば、その前後によって波のバイアスが測れるのではないでしょうか。

ダイアゴナルのリトレイスメントのライン

ダイアゴナルのリトレイスメントのライン

ダイアゴナルについては触れていないので、適用はないと解釈しています。ただダイアゴナルに似た形状の衝撃波というのもたまに見かけているような気がします。それは今回のリトレイスとは関係ありません。

参考:上昇ダイアゴナルは「弱気のパターン」であり、|ダイアゴナルトライアングル(ウエッジ)

より大きなジグザグのB波

この文言がよくわかりません。「より大きな」ですから、単なるジグザグのB波とは違うということですよね。逆に、「より小さな」ジグザグとは何なのでしょう。

考えていてもわからないので、今のところの結論として、副次波レベルのジグザグには適用されないと勝手に解釈しておくことにします。ジグザグが出現する場所としては、以下のものが考えられます。

  1. ジグザグそのもの(より大きな?)
  2. ジグザグのB波(大きなジグザグの副次波)
  3. フラットのA波、B波(大きなフラットの副次波)
  4. トライアングルのA波、B波、C波、D波、E波(大きなトライアングルの副次波)
  5. エンディングダイアゴナルの第1波、第2波、第3波、第4波、第5波(大きなダイアゴナルの副次波)
  6. リーディングダイアゴナルの第2波、第4波(大きなダイアゴナルの副次波)
  7. X波(ダブルスリー、トリプルスリーの副次波)

この考え方は多少納得できそうな気がします。たとえばトライアングルやダイアゴナルなどの副次波のジグザグは、歪な形状(A波とC波のバランスが悪いものなど)のものが多いように思っているからです。

もしもこの解釈が正しいのであれば、大きなヒントになりそうです。つまり、歪な形状のジグザグであれば、それは上のチャートパターンのどれかの副次波であると予想できるのです。私の勝手な解釈であることはご了承ください。

トライアングルの歪な副次波

トライアングルの歪な副次波

上図はこれをイメージして描いたものです。実際はシンメトリー性もあると思っているので違うのですが、そのあたりはまだ試行錯誤中です。

複数のジグザグのX波

複数のジグザグのX波のリトレイスメント

複数のジグザグのX波のリトレイスメント

今度は逆に、50%や61.8%などをリトレイスしている割と綺麗な形状のジグザグであれば、①衝撃波の第2波、②より大きなジグザグのB波、③複数のジグザグのX波、のどれかという予想を立てることができるということになります。これはこれで自然な考え方だとは思うのですが、私の勝手な解釈であることはご了承ください。しばらくこのような視点で波を見てみます。

参考:リアクション波であるそれぞれの「X波」は、常に修正波として、通常ではもう一つのジグザグを形成している。|ジグザグ(5-3-5)

参考:「X波」は、一般にはほとんど「ジグザグ」である。|複合型(ダブルスリーとトリプルスリー)

横ばいの修正

第4波で横ばい修正の場合のリトレイスメント

第4波で横ばい修正の場合のリトレイスメント

「横ばいの修正では特に第4波で修正が起こるときは、前の衝撃波の38.2%までリトレイスする傾向がよく見られる。」

特に第4波」ということですから、同じ横ばい型の修正波でも「第2波」は除外しておくのが無難かもしれません。

始点については、私は上図のように解釈しています。最安値にあてがうほうが一般的なのかもしれませんが、人それぞれで良いと思います。どちらにしても、毎回同じやり方をすることが必要だとは思います。

ちなみにダウの場合には、3/8(0.375)以上は戻すということでした。

参考:チャールズ・ダウ|「エリオット波動入門」書籍

まとめ

リトレイスメントのイメージ図

リトレイスメントのイメージ図

私なりの覚え方としては上図のようになります。これを「リトレイスメントの基本形」としておきます。

今回の項目の最後に書かれているのですが、以上に示した比率は、単なる傾向の一例だそうです。覚える数字が、「0.618」、「0.5」、「0.382」の3つだけですから非常に簡単です。

ここまでかなりの時間を費やしてエリオットの波動原理を勉強し、でも一向に力がついていないと実感し、そこへもってきてのこの実践的なフィボナッチのリトレイスメントです。多くの分析家は、やはりかなり重要視してしまっているらしいです。

なにしろフィボナッチというものは、数字がいくつか決められておりブレがありません。0.618という数字は、誰が見ても0.618です。わかりやすいというか頭を使う必要がないため、こちらへ逃げてしまいたくなります。

しかし最近思うのが、なんだかんだ言っても波形が大事だということです。常に大局を意識しておくこと、実践的には、迷いが生じたとき、最後に物を言うのは「波の個性」、というようなことがこの書籍にも書いてあります。

参考:波形の分析は比率関係の重要性に勝る。|比率分析の応用

参考:全てのエリオットのルールに照らしても、いくらかの異なる波のカウントが完全に許容されるときがある。|波の個性(エリオット波)

波動原理を知らなくてもフィボナッチは使えるのでしょうが、知っているほうがミスは防げると思います。

以降の学習項目になりますが、「同じ方向」を向いている交互の波やその長さの比率のほうが、はるかに正確で信頼できるそうです。

参考:推進波の倍率

参考:修正波の倍率

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