波の個性(エリオット波)

波の個性(Wave Personality)の概要

波の個性という考え方は、波動原理を大きく拡大解釈したものである。

  • 人間の行動を、いっそう個性的に波動原理の方程式に当てはめるというメリットがある。
  • 具体的に表現する群集心理の不可分の一部を反映している。

波の段階を問わず、かなりはっきりしている。

  • 次の連続する波では、何が起こるのかを警告する。
  • 他の理由では波のカウントがはっきりしなかったり、色々と異なる解釈ができるようなときは、現在の株価の位置を知らせてくれることもある。

全てのエリオットのルールに照らしても、いくらかの異なる波のカウントが完全に許容されるときがある。

こうしたときこそ、「波の個性」が極めて重要となる

ルールやガイドラインに逸脱しないカウンティングが複数可能であるとき、最後に物を言うのが波の個性の知識になるのかもしれません。

第1波の個性

思いもよらなかったことなのですが、第1波には2種類(割合は半々)あるようです。

「基礎作り」の第1波(50%)

建設的な第1波

建設的な第1波

一般的な第1波のイメージの波だと思います。

基礎作りであるため、「第2波によって大きく修正」されることが多い。

  • 弱気相場における一時的な上昇局面に比べると、テクニカル的に見ても建設的であり、「出来高」や上昇する銘柄数も次第に増えてくる。
  • しかしほとんどの投資家は、まだ最終的にメジャートレンドは下向きであると考えているので、引き続き多くの空売りが出てくる。
  • 彼らは最終的に「株価が戻れば売り」のスタンスをとり、そのチャンスをうかがっている。

逆風の中での出発です。進むそばから空売りされるため、なかなか前へ進むことはできないのでしょう。バイアスがどっち向きなのかを気にしておく必要があります。

ダイナミックな第1波(50%)

1949年、1962年、1974年の第1波

1949年、1962年、1974年の第1波

画像引用元:Dow Jones Industrial Average – 1900-Present|StockCharts

  • 1949年の修正局面、1962年の下落の失敗などによって形成された大きなベース、
  • 1962年のと1974年の大幅な下落のあとを受けて上昇する。
  • こうしたスタートを切った第1波はダイナミックであり、リトレイス幅もかなり小さい。

書籍中は上のような具体的なチャート例は載っていません。記載されている年度を見て、こういうことではないかと、私が勝手に手を加えました。間違っているのかもしれないことはご了承ください。

ダイナミックな第1波

ダイナミックな第1波

「下落の失敗」後の第1波

本来であれば、ABC修正波がもっと下落して修正しないといけなったところを、何かの手違い、事情により、思いのほか下げなかった。そのような上へのバイアスが強いときに、第1波が何かのはずみでスタートしてしまったと。

とにかく相場は上へ上へですから、第1波は必然的に強く上昇するでしょうし、第2波の戻りも必然的に弱くなると、そのようにイメージしています。

「大幅な下落」の後の第1波

これは「下落の失敗」とは逆で、バイアス的には下なのですが、突発的な大幅な下落の反動で、やはり突発的にその反動で第1波が急上昇してしまったと。しかし本来バイアスは下ですから、第2波の戻りは強くなるのかなと思いきや、戻りは浅いです。このあたりは、はっきり言ってどう解釈したら良いのかわかりません。

第2波の個性

第2波の個性

第2波の個性

  • 第1波の上げ幅の多くをリトレイスすることが多く、積み上がった利益の多くは第2波が終了するときまでに帳消しされる。
  • 第2波の進行中は恐怖心が支配的となり、多くのプレミアムもはげ落ちるので、利益の帳消しは特にコールオプション(商品を買う権利)の買いで顕著になる。
  • ほとんどの投資家は、弱気相場に再び逆戻りしたと考える。
  • しかし、出来高がかなり少なく、ボラも小さいことは、売り圧力が出尽くしていることを示唆している。

第3波の個性

  • 波は大きく力強く、トレンドはもはや疑う余地のないものとなる。
  • 一般に第3波では、「値動き」と「出来高」は最も大きく、最も多く「延長」する
  • 第3波の副次的な第3波などは、最も力強く変動する波となる(多くの副次波が出現することが多い)。
  • ブレイクアウト、「コンティニュエーションギャップ(トレンドの半ばで出現し、トレンドの継続を確認するギャップ)」、大商い、上昇する銘柄の急増、主なダウ理論に基づくトレンドの確認、株価の急上昇の動きなどが見られ、
  • 時間足、日足、週足、月足、年足などのチャートで大きな陽線が出る。
  • ほとんどのすべての株式が参加する。
  • B波の個性と同じく、第3波の個性も、波が進行するにつれて、波のカウントに関する最も重要な手掛かりを示してくれる。

B波の個性は一言で言えば「まやかし」ですが、それと同じなんですか。浮かれている状態ということでは共通しているかもしれません。推進波で、最も大きいところを第3波と仮定して分析を始めることは有効だと思います。

参考:B波の個性|波の個性(修正波)

第4波の個性

第4波の個性

第4波の個性

  • オルターネーションの法則により、第4波の「深さ」と「波形」は、ある程度予測が可能である。
  • 第4波はよく横ばいの動きとなり、最後の第5波のベースを作る波となる。
  • 第4波の進行中に遅行株はすでに天井を打って下げに転じ始める。

第5波の土台作りのためと考えれば、第4波が横ばいになることが多いというのは納得できます。第3波の土台は第2波かというと、第3波の土台を作らずとも勝手に進んでいくと思います。

参考:衝撃波の第2波が「急こう配」の修正となるときは、その第4波は「横ばい」の修正になると予想される(逆も同じ)。|オルターネーション(交互)の法則

第5波の個性

1976年の第5波

1976年の第5波

画像引用元:1976年のチャート|ダウ平均マン

  • 銘柄数という点では、第3波ほどダイナミックではない。
  • もしも第5波が延長し、第5波の副次的な第3波の動きが第3波よりも速いとしても、その最大スピードは、依然として第3波には及ばない。
  • 通常では、第5波の出来高は第3波よりも少ない。
  • ヒストリカルなデータを検証しても、相場のピークで株価が最も勢いよく上昇したというケースは見られない。⇒最後の「噴き上げ」はない
  • たとえ第5波が延長しても、その副次的な第5波は、それ以前の波よりもダイナミックには上昇しない。
  • 1976年末の上昇は、4月、7月、9月の修正波の上昇と比較しての推進波だった(上チャート)。
  • 第5波が新高値を付けることはなかったにもかかわらず、「弱気率」は4.5%(調査結果)。⇒如何に楽観的に見られているかの証し。

第3波のミニ版という感じです。

参考:チャート例|トランケーション(切頭)

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