ジグザグ(5-3-5)

「シングルジグザグ」(5-3-5)

「A-B-C」と表示される単純な3つの波の下降パターン。

副次波は「5-3-5」。

ジグザグのイメージ図

ジグザグのイメージ図

ジグザグはもちろん修正波なのですが、副次波は5-3-5で、A波とC波の2本は5波動の推進モードの波です。

私の勝手な解釈になりますが、推進モードの波というのは、フィボナッチの何某かの目標値があらかじめ定められており、そこに向かって進んでいくのではないかと思っています。意思を持っている波です。一方で修正モードの波というのは、「推進波に対する反動」として現れる波ですから、それ自身で明確な意思を持っているとは言えません。

ただ注意しないといけないのは、推進モードの波だからといっていきなり目標値にまっしぐらに進むわけではなく、チャートパターンというセットというか組み合わせで目標値に向かうということです。

衝撃波が5波動で進むように、ジグザグはABCという3波動でセットなのです。この書籍(「エリオット波動入門」)では「ABCフォーメーション」という言い方をしているようです。

参考:「波のモード(動き)」|5つの波のパターン、「波のモード」

B波の頂点は、始点よりもかなり低くなる。

シングルジグザグ

シングルジグザグ

以降学習するフラットやトライアングルでは、A波の頂点を超えてしまうという「ランニングフラット」「ランニングトライアングル」なるものがあります。

ジグザグの場合には、そのような「ランニングジグザグ」というものは存在しないってことになります。そもそもが始点から離れてこそのジグザグという形状でしょうから、超えてしまってはジグザグの体をなしません。拡大型ジグザグも勿論ありません。

「かなり」低く、という言葉はあやふやです。これでは実践では使えないと思うかもしれませんが、このようにしか書いていないのでしょうがないです。

またここでは書いてませんが、ジグザグというのは勾配型の修正波です。強気相場であればトップは鋭角になるでしょうし、そのトップからのA波は5波動の波です。B波が戻れなくなるくらい下方へのバイアスが強い波なのです。

むしろ衝撃波と同じような感覚で見ておいて良いのではないでしょうか。一山足りない、衝撃波の短縮バージョンです。

弱気相場のジグザグは、「逆ジグザグ」とも呼ばれる。

所謂b波のことだと思います。

ジグザグのB波

ジグザグのB波

ちなみにジグザグのB波ですが、3波動の波ですから、ジグザグ、フラット、トライアングルの3つのパターンがあると思います。上図に描いてみましたが、こうして見ると普通の衝撃波の出だし(第1波、第2波、第3波)と変わりません。

局地的な分析になりますが、最初に5波動の波が出現したら、衝撃波の予想をすると同時に、ジグザグの可能性も考えておく必要があるでしょう。見分け方についてはこの書籍には載っていませんが、チャネルライン、フィボナッチを使うのが良さそうです。

波動的には、第2波の形状が参考になるはずです。衝撃波ではほとんどジグザグだからです。逆に、第2波若しくはB波と思われる場所で横ばい型の修正波が出現すれば、ジグザグ寄りに頭を切り替えておいて良いのではないでしょうか。

B波のジグザグ

B波のジグザグ

少しもやもやとしたものがあり、上図を描いてみました。B波がジグザグの場合です。大きいジグザグの中に小さいジグザグがあるようなイメージです。バイアスはどっちなのだろうと、わけがわからなくなってしまいました。

ジグザグは修正波なのですが、目標値も定められており(以下で書いてます)、他の修正波とはそういう意味で一線を画すとでもいいましょうか。やっていることは衝撃波と変わらないと思うのですよね。結果的に、トレンドとは逆方向に進んでいたという解釈になるだけで。

何が言いたいかというと、ジグザグの中に逆方向のジグザグがあれば、バイアスがかち合ってしまうのではないかということです(すべての波はそうなのかもしれませんが)。ジグザグの要件としては、B波には深く戻って来られると困るわけで、しかしそのB波がジグザグであれば、深く戻ろうとすると思うのです。

大きいトレンドが優先されて、せいぜい61.8%くらいまでの戻りで収まってくれれば良いのですが、ジグザグの体を成すための「B波の頂点はかなり低く」という要件を満たしたいのであれば、端からフラットかトライアングルにしておけば良いと思うのです。

逆に言えば、B波がそれでも敢えてジグザグを選択する場合には、その場所は「ジグザグvsジグザグ」の攻防が行われており、錯乱した状況なのではなかろうかと。なのでそこでトレードするなんてもってのほかで、注意しなさいよということを、自分に言い聞かせておこうということです。すべて私の想像上の話ですのでご了承ください。

通常の目標値に達しないときは、各ジグザグの間に「3つの波」をはさみ、

「ダブルジグザグ」、「トリプルジグザグ」と呼ばれるものが出現することもある。

ジグザグの目標値

ジグザグの目標値

まず目標値ですが、私は上図のようにイメージしておくことにします。基本は黄金比である61.8%、そして第2候補としては50%です。これらはフィボナッチのガイドラインに明言されており、最も尊重すべき値だと思っています。

「修正波の深さ」というガイドラインでは、「第4波の底」という注目すべきポイントがありますが、それは基本的には第4波でのことです。ジグザグが出現するのはほとんど第2波であり、波動的には深く戻す場面です。ですので第4波は超えてくると考えるほうが自然なのではないかと。

とにかくイメージとしては、浅い戻りではなくて深い戻りであるということです。修正波といえども、推進波を2本も含んでますから。初動のA波とダメ押しのC波です。その流れで、「より小さな段階の第2波の領域に下落すること」も忘れてはいけません。ここまで下落すると、いっそのこと下に抜けてしまうのではないかと思いそうになるのですが、そこから引き返すダブルボトムのパターンとして明言されています。

参考:急こう配の修正(ジグザグ系)|比率分析、リトレイスメント

参考:基本形:第(4)波の底⇒第4波の底|修正波の深さ

参考:ダブルボトム|修正波の深さ

※何かが腑に落ちないと感じていたのですが、わかりました。61.8%の戻りを、浅いとみるか深いとみるかの表現の違いのようです。注意していただきたいのは、この「ジグザグ」のチャプターでは、ジグザグは深く戻すなどとは一言も書いてありません。

ではなぜ私が深く戻すとイメージしているかというと、波の個性の第2波のところで、「第2波は第1波の上げ幅の多くをリトレイスすることが多く、このときまでに積み上がった利益の多くは第2波が終了するまでに帳消しされる」、との説明書きがあるからです。

参考:第2波の個性|波の個性(エリオット波)

61.8%の戻りは、深いと解釈して良いよね?ということです。「多くのリトレイス」、「帳消し」を、フィボナッチのガイドラインの61.8%と結びつけました(この解釈が間違っているのかもしれません)。一方で、B波の戻しも61.8%であるわけですが(より大きなジグザグのB波に限ります)、ジグザグ的にはこれは「かなり低い」わけなのですよね?

同じ61.8%のはずなのに、出現する場所によって、深いと見做したり浅いと見做したりという、矛盾めいたものを感じてしまうのです。一応今は、ジグザグ全体としてもそのB波も、61.8%の戻しが基本になるということで、それは深くもあり浅くもありと覚えておきます。あくまでも私の解釈であることはご了承ください。

ダブルジグザグ、トリプルジグザグ

「ダブルジグザグ」、「トリプルジグザグ」が発生するのは、あくまでも「目標値に達しないとき」です。

ジグザグの後の3波動の波

ジグザグの後の3波動の波

フィボナッチの61.8%という一応の目標値はあるのですが、実際は目安程度にしかならないと思います。だって目標値に達したのかどうかは、終わってみないとわからないですよね。結果的に、ああ、やはりあそこが目標値だったのだなと。先立つ波と進行中の波にフィボナッチを掛け合せたりして、2つ3つの条件が重なっていれば、トレードするチャンスはあるのかもしれませんが。

仮にジグザグっぽい波を発見できたとして、次に出現する波が5波動なのか3波動なのかは重要だと思います。5波動であれば、一応修正波は終わったと判断して、第3波の副次波、延長波、リーディングダイアゴナルなどの予測になると思います。

3波動の場合には、上図に描いてみました。トップの位置にラインを引いたのは、X波に合わせました。トップを超える3波動であれば、拡大型、ランニングのフラット、トライアングルになると思います。超えない場合には、ここでいうダブルジグザグの可能性も考えておく必要があるということです。

一点ほど、「3つの波」という言い回しについてです。後にX波のことであること、そしてそれも通常ではジグザグであることはわかるのですが、ここで敢えて「3つの波」と言っていることに、ルールとしての強さを感じます。

第2波がジグザグになることはよくあるが、第4波がジグザグになることはほとんどない。

フラットの項目では、「衝撃波の第4波がしばしばフラットになるが、第2波がフラットになることはほとんどない」と書かれています。

ほとんど」という言い回しですから、言い切っちゃってるといってもいいのではないでしょうか。衝撃波は、第2波はジグザグ系、第4波は横ばい型の修正波になるのです、ほとんど。逆に、第2波が横ばい型、第4波がジグザグ系のときはイレギュラーですから、いつもより慎重に、そしてそうなっている原因を探りたいところです。

参考:衝撃波の第4波でしばしば出現し、第2波ではほとんど出現しない。|フラット(3-3-5)

参考:衝撃波の第2波が「急こう配」の修正となるときは、その第4波は「横ばい」の修正になると予想される(逆も同じ)。|オルターネーション(交互)の法則

ジグザグの波の見方

ジグザグの波の見方

同じく「フラット」の項目で、「ジグザグのときのように完全な5つの波として展開するだけの十分な下落の勢いはなく、・・・」と書いてあります。言い換えると、ジグザグには下落の勢いがあるということになります。

そこでジグザグという波の見方なのですが、しばらくは上図のような視点で見てみようと思っています。上述しましたが、ジグザグというのは修正波なのですが、衝撃波から修正波に切り替わるときの波だと思います(トライアングルの副次波など、そうではない場合もあるのでしょうが)。前トレンドの余韻を引きずっているというか、前トレンドからは完全には抜け出せていない状態です。

前トレンドを考慮しないでジグザグの分析をするよりも、前トレンドからの流れを意識して見るほうが、その変化がわかりやすいと思います。5波動から3波動に、そしてダウ理論の安値の切り上げという2つの変化があるはずです。ジグザグと判断する、その精度が上がると思うのです。

突発的でイレギュラーな事象もしばしば起きるのでしょうが、さざ波状態のときには、波動は緩やかに変化すると思います。衝撃波であれば、第1波、第3波と同じ流れの波が続き、第5波で波形が崩れ始めます。次の波が3波動であれば、そこに異変を感じとり、いよいよ流れが変わったのではないかと予測します。

参考:A波(最初のアクション波)には、ジグザグのときのような5波で展開するだけの勢いはない。|フラット(3-3-5)

勾配型になる理由

勾配型になる理由

ふと思ったのですが、第2波はほとんどがジグザグ、そしてそれが勾配型になる理由です。ジグザグを前トレンドの衝撃波と同じような視点で見ていれば、上図左の場合だと、ジグザグが出現するときってまだ売り目線が継続しているということになります。ジグザグの始点には何かポイントがあるとかはわからないのですが、売り勢力が待ち構えているのではないでしょうか。そこでガツンと売りが入り、急激に下げると。私の想像上の話です。

「ダブルジグザグ」、「トリプルジグザグ」

「トリプルジグザグ」のイメージ図

「トリプルジグザグ」のイメージ図

衝撃波の延長に似ているが、それほど頻繁には出現しない

確かに「延長」と言われればそのように見えなくもありませんが、間に「X波」という波を挟みますから、延長のように「伸びる」というよりは、ダブル、トリプルというほうがしっくりきます。X波の後に、ボコッボコッと同じものが出現するようなイメージです。

一番重要なことは「目標値に達したのかどうか」で、達するまではしつこくジグザグが出現し続ける、というふうに解釈しています。

またトライアングルの項目で、「衝撃波の第2波がトライアングルの形をとることはかなり珍しいようだが、一般にその原因はトライアングルが修正の一部であり、実際にはダブルスリーとなるという事実にある。」という文言があります。

第2波はほとんどジグザグということでしたが、シングルジグザグのほか、ダブルジグザグ、トリプルジグザグ、最初がジグザグのダブルスリーの可能性も考えておくべきでしょう。

参考:衝撃波の第2波がトライアングルになることはかなり珍しい。|水平トライアングル(三角形)

修正波の出現頻度

修正波の出現頻度

頭の中を整理するために、上図を作りました。この書籍中に記載されている文言です。

複合型の項目で書かれているジグザグについても、併せてチェックしておきたいです。

参考:ダブルジグザグ、トリプルジグザグでは、最初のジグザグは、それに先立つ波を価格面で十分に修正するほど大きくなることはほとんどない。|複合型(ダブルスリーとトリプルスリー)

※私は少々勘違いをしておりました。上の表のトライアングルの欄ですが、修正の一部とか実際にはダブルスリーとなるという事実、というのは、あくまでも第2波にトライアングルが出現する場合のようです。

リアクション波であるそれぞれの「X波」は、常に修正波として、通常ではもう一つのジグザグを形成している。

X波のトライアングル

X波のトライアングル

X波は通常はジグザグです。通常ではないときは、トライアングルの項目で言及されているのですが、トライアングルになると思われます。

ダブルジグザグ、トリプルジグザグ自体が頻繁には出現しないということですから、端から捨てパターンとしてしまうほうが賢明なのかもしれませんが、きっちりとラべリングをしようとすれば厄介だと思います。

トライアングルは、最後のアクション波に先立つところに出現するチャートパターンです。今回の場合には、Y波またはZ波が最後のアクション波になるからなのですが、正確に言うとこれらは、アクションなのに3波動という「アクション的な修正波」というものです。

波動原理の理屈的には間違っていないと思うのですが、トライアングルの後に3波動のジグザグが出現するという、波動的というか波の流れ的には、少々の違和感、気持ちの悪さを感じます。

参考:アクション的な修正波(Actionary Corrective Waves)|オーソドックスな天井と底

参考:より大きな段階のパターンにおける、最後のアクション波に先立つところに出現する。|水平トライアングル(三角形)

表記の仕方

ダブルジグザグの表記

ダブルジグザグの表記

ダブルジグザグ、トリプルジグザグの表記は少し特殊で、「W-X-Y(-X-Z)」となります。エリオットは、ダブルジグザグのラべリングを「A-B-C-X-A-B-C」のようにしていたそうです。これだと、X波と、A波、B波、C波が同列になってしまうというか、X波の副次波はどうラべリングしていたのでしょうか。

A-B-C・・・と表記するのであれば「A-B-C-A-B-C-A-B-C」にせざるを得ないでしょう。すべての波は同じ段階なのですから。そうすると、1段階上の表記は「(A)-(B)-(C)」となってしまい、ABCフォーメーションのジグザグ、フラットと同じになってしまいます。そこで著者は「W-X-Y」にしたそうです。

書籍中の説明では、「それらの波が2段階下の波である時は、修正局面全体というよりもただひとつの段階として表記されてしまう」らしいのですが、W-X-Y(-X-Z)とすることで「それぞれの副次波は、修正局面全体というよりは2段階下の波として正しく見られる。」のだそうです。ちょっと私の頭では理解できません。

トリプルジグザグの波の段階

トリプルジグザグの波の段階

書籍に載っている図ですが、確かに(X)波の副次波が周りの波と歩調が合ってないとは思います。周りの波は副次波まで記載しているのに、(X)波には副次波の記載はありません。以下のチャート例に、こういうことなのかなというパターンがあったので、そこで再考しています。実際のチャートを見ながらのほうがわかりやすいです。

ダブルジグザグ、トリプルジグザグの波動

※追記(2020.6.24)

ダブルジグザグの波動-1

ダブルジグザグの波動-1

チャート例を見ていて、ダブルジグザグの波形がどうも頭の中でイメージしずらいため、上図を描いてみました。

ダブルジグザグについては、「3-1-3」の7波動とカウントしようと思います。X波は3波動なので「3-3-3」の9波動とするほうが適切なのかもしれませんが、複合型のチャプターに「トリプルスリーの総波数は11とカウントされる」との文言があるためです。エリオットまたは著者のやり方に従ってみようというわけです。

複合型ではX波だけがリアクション波ですから、複合型に限ってはリアクション波は1波動と見做すということになると思います。通常のシングルの修正波とは整合性がとれないような気もするのですが、しばらくはこのやり方でやってみます。

参考:内部の波のカウント数|複合型(ダブルスリーとトリプルスリー)

ダブルジグザグの波動-2

ダブルジグザグの波動-2

上述したとおり、トリプルジグザグは「3-1-3-1-3」の11波動としておきます。

私はここで重大なことに気づきました。何を今更ってことなのでしょうが。ジグザグは最初は5波動でスタートしますから、そこでフラットとトライアングルとは区別できると考えていたのですが、その最初の5波動を判断することにチャートを見ていて迷ってしまいました。

つまり、波の段階を揃えておかないといけないのではないか、ということです。先立つ波である衝撃波からの流れで、「12345ABC」というカウントになりますが、このAの部分が5波動ということになりますよね。その基本的なことがわかっていないと、どの段階の副次波を見れば良いのかわからなくなると思うのです。

違うやり方があるのかもしれませんが、修正波の分析に入る前に、先立つ衝撃波の波の段階を意識しておくことが必要なのではないでしょうか。フラットやトライアングルは3波動でスタートしますが、その3波動がジグザグであれば5波動でスタートします。そのようなことを考えているとわけがわからなくなってくるのです。

とりあえずの応急処置として、まずある程度確信が持てる衝撃波(12345と綺麗なカウントができるもの、どの段階の副次波まで見えているのかわかるもの)を探してから、修正波の検証をしてみようと思います。今までは先立つ衝撃波の波の段階など気にしていませんでしたので。いきなり修正波の分析を始めても、相当効率は悪いと思うのですよね。今の私にはかなり難しそうな作業です。

また、4時間足、1時間足、15分足など、時間軸によって波動の見え方に特徴があるのではないかとも思いました。そういうものにも慣れていかなければいけません。マルチタイムフレーム分析にも繋がってくると思います。

チャート例

チャート例はページを分けました。

参考:ジグザグのチャート例

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