「エリオット波動入門」書籍

本を買いました

エリオット波動入門

エリオット波動入門

私の場合、まずはエリオットの波動原理(「波動理論」だと思っていましたが、「波動原理」というようです)を押さえたいというのがあり、少し前にパンローリング社の「エリオット波動入門(Elliott Wave Principle)を買ってきました(中古ですが)。

ネットに出回っている知識を学ぶくらいで十分なのかなと思ったりもしたのですが、ネットの情報というのはぶつ切り的で系統だっていません。まとめたり整理しずらく、また理屈までは書いていないことが多く覚えずらいです。そしてなによりも、まずはこの基本の教科書的なものを読みたいと思いました。これを読まないと話にならないでしょうと。

ネットでエリオットのことを検索すると、実践では使えないという意見もあるのですが、使えるか使えないかを判断するには、まず知らないことには始まりません。他に「ダウ理論」というのもありますが、もう少し実践的といいましょうか、何か心の拠り所みたいなものが欲しくて、柱ですね。それがないと、負けたときに気持ちがぶれてしまうのです。

ある程度確立された相場の理論としては、結局はこの波動原理しかないというのもあります。プライスアクションも勉強するつもりですが、あれは理論というような大げさなものではなく、小手先の技術みたいな位置づけです。あくまで今現在の私が考えていることですので、考えは変わるかもしれませんし、偉そうに聞こえたら申し訳ございません。まだ全然知らないのに。

※追記(2019.10.8)

今現在、この波動原理に対する私の考えは若干変わっています。信頼していないわけではないのですが、エリオット本人も説明しているとおり、波動原理の数学的基礎はフィボナッチ級数なのです。フィボナッチの後付けの理論が波動原理である、くらいに思っています。波動原理の根拠をどこにもっていくか、まずはフィボナッチを気にして学習しています。

参考:フィボナッチ級数|ピサのレオナルド・フィボナッチの略歴

※追記(2019.12.11)

また少し考えが変わりました。フィボナッチを多少学習して、一周して波動原理に戻ってきたというのでしょうか。フィボナッチを使うためには、波動原理の知識がないと厳しいと思っています。両方大事ということです。

監修者まえがき

この「エリオット波動入門」ですが、著者はエリオット本人ではなく、「A・J・フロスト」と「ロバート・R・プレクター・ジュニア」という2人(エリオットの熱心な研究者)です。度々エリオットの間違いにも言及しているのですが、客観的な視点で分析してくれていると思えば有難いです。

ただ、この書籍で展開されている波動原理は、基本的には少々昔の「株式」についての分析です。載っているチャート例も、大半は少々古いNYダウのものです。

そもそも相場の波というものは、人間そのものである的な考え方をしているため、人間の本質が変わらない以上波動原理は有効だと思います。しかし時代と共に、本質的な部分は変わらないにしても、人としての価値観などの表層的な部分は変わっていても不思議ではないですし、更に私がやろうとしていることはFXでありレバレッジの市場です。

この波動原理を突き詰めようとすることは、今の時代はナンセンスなのかもしれませんし、ある程度幅を持たせることが必要なのではないか(多少のズレは許容範囲とするなど)、ということです。言ってみれば、現代版の、更に進化した波動原理のようなものがあっても良いのではないか、などと思ったりもします。

エリオット波動理論

  • エリオットが開発したテクニカル分析の一種
  • 基本的には5波で上げて3波で下げるという仮説を基幹とし、そのバリエーションや合成によって成り立っている。

この書籍の監修者の長尾さんという方ですが、「過去の値動きにこの理論を当てはめてみると、うまくいくケースもままあり・・・」と表現しています。初っ端の1ページ目で、既に絶対ではないよと言っています。ですので私も、それほど期待しすぎないように勉強するつもりです。

あくまでも「テクニカル分析の一種」です。波をカウントする作業は、トレンドラインを引いて分析するのと同レベルのことなのだと思います。

  • トップダウン・アプローチ(経済など):例、ジョージ・ソロス
  • ボトムアップ・アプローチ(企業の業績など):例、ウォーレン・バフェット

出版者のノート

本書の初版は1978年、今は2017年ですから、歴史はまだ39年(波動原理そのものではなく、あくまでこの本の)です。

サイクル第Ⅴ波という予想

サイクル第Ⅴ波という予想

画像引用元:Dow Jones Industrial Average-1900-Present|StockCharts

上のチャートは、過去100年超のNYダウです。というのも、例示として年度の記載があるのですが、エリオットの波動原理どおりに相場が進行しているのかどうか気になったからです。詳しいことはまだよくわかりませんが、現在の上昇相場は「サイクル第Ⅴ波(Cycle Wave Ⅴ)」らしいです。これがもしも第Ⅴ波でなかったならば、初っ端で躓いてしまいます。

これから勉強しようという矢先に明らかに違うとなったら、モチベーションだだ下がりどころか、今後時間をかけて勉強する意味がないのでは、と思ってしまいます。それどころか、FX自体をあきらめるしかなくなってしまうのではないか、というくらい精神的には重要なことです。

ちなみに上のチャートの1998年の状況ですが、「サイクル第V波の末期になると、投資家の群集心理は1929年と1968年、それに1973年の上昇相場をすべて合わせたような躁の状態になり、最終的には陽極のピークまで行ってしまう」そうです。

Grand Supercycle Completes

Grand Supercycle Completes

画像引用元:Fourth Turning Meets the End of a Grand Supercycle|Beyond the Chart

はっきり言ってまだ全然チャートが読めないといいましょうか、だからこそ波動原理を勉強しているわけですが、なんとなくの片手間の知識により、上のサイトのチャートを発見して少し勇気づけられました。

同じエリオットの波動原理を駆使していても、人により解釈は違うものになるのかもしれませんが、「第V波」と解釈している人もしっかりと存在しておりました(というよりも上のチャートは、波動原理をただ単にそれ相応に当てはめただけですね、たぶん)。

書籍中、大強気相場の後に史上最大の大弱気相場が到来するとも書かれているのですが、それは未だに到来していないのか、それとも外れたのか、それを判断できる能力は今の私にはまだありません。

序文

経済学の分野で名声を築いた4人を紹介しています。①アーサー・ピグー、②チャールズ・ダウ、③バーナード・バルーク、④ラルフ・ネルソン・エリオット、です。

アーサー・ピグー

景気の循環を、人間の方程式に引き直しました。

チャールズ・ダウ

2つの原理を発表しました。

1.最初の原理

メジャートレンドが上向きの株式相場は、「3つの上昇スイング」によって特徴づけられる。

エリオットの5波と完全に一致してます。エリオットは自らの理論を、ダウが発見したものと結合させたそうです。源流は同じというか、ダウとエリオットの各理論は衝突しないようですから、覚える側としては有難いです。

ただ、修正の3波動には言及していないのですね。あくまでも上昇3スイングということで。

ダウの上昇スイング

ダウの上昇スイング

この書籍を読み進めると、他の波に比して第3波を特別視しているのがわかります。ただその理由が、「企業収益」とか「企業価値」に関わってくるからというものであれば、FXではちょっと違うかなとも思います。

もちろん各マーケットは多かれ少なかれ連動しているでしょうし、5波動の真ん中に位置しているとか、根拠がフィボナッチ数列であれば、マーケット全般に共通しているとは思います。ただ第3波を特別視しているというその度合いが、FXの場合には多少は弱まるのかなと思ったりもします。

2.二番目の原理

3/8以上の帳消し

3/8以上の帳消し

『上昇、下落、どのようなスイングでも、3/8以上を帳消しにする逆の動きが存在する。』

「3/8」という数値が、どこから来たのかは少々気になります。たとえばエリオットであれば、5波で上げて3波で下げるわけですから、3/5という数値が来るなら納得もできそうですが、そのように考えると、特に「8」という数値はどこから来たのでしょう。

参考:基本形|比率分析、リトレイスメント

半値までは戻さない、しかし1/3よりは大きい、・・・こういう状況下で「8」が登場するのです。

3も8もフィボナッチ数です。3/8=0.375ですが、フィボナッチの0.382に近いです。ダウがフィボナッチを意識していたのかどうかはわかりませんが、戻しのときの0.382付近のラインには説得力が増します横ばいの修正限定となってしまいますが)。ダウも認めている、お墨付きということですから。

参考:横ばいの修正|比率分析、リトレイスメント

バーナード・バルーク

株式相場の変動の記録は、人間の反応である。株式相場は人間そのものである。株式相場は、人間的な特質である。

ラルフ・N・エリオット

自らの理論を、ダウが発見したものと結合させたが、包括性と正確さという点では、ダウの理論をはるかに超えていた。

1935年、ダウ鉄道株平均

1935年、ダウ鉄道株平均

画像引用元:Dow Jones Transportation Average-1900-Present|StockCharts

エリオットの強気な予想

エリオットの強気な予想

画像引用元:Dow Jones Industrial Average-1900-Present|StockCharts

1929年からの大きな下げは世界恐慌で、その後の1935年の踊り場(第4波の横ばい修正になるのでしょうか)付近で、エリオットは強気な予想をしたそうです。

誰もが世界恐慌の残像から抜け出せずにいるときでしょう。その後近いところまで下げたこともありましたが、そこを下抜くことはせず(鉄道株平均は下抜けた)、今現在まで株価は上昇し続けています。細かいことは抜きにして、彼は予想を的中させたということになります。素直に凄いというしかないのですが・・・。

ひねくれた見方をすると、上がるか下がるかを予想する場合、上がると予想しておくほうが確率は50%以上になるのではないでしょうか。「株価=人間」的な考えをしていればの話ですが、人間は成長し続けますから。もちろん衰退もありますが、亡くなった人はマーケットには参加していません。人口も増えていますし、物価も上昇していますし。

のちにエリオットは、『波動原理(The Wave Principle)』を自然の法則(Nature’s Law)』と題する更に大きな著作にまとめました。自然の法則というくらいですから、元来波動原理というものは、株価の予想のための技術的な手法云々ではなくて、フィボナッチを含むもっと壮大なものなのだと思います。

まとめ

以上の4人に共通しているのは、相場というものに対して、科学的なものよりも、少々大げさに言えば精神的なものを投影している、ということではないかと勝手に解釈しています(ダウはそうではないかもしれませんが、結果的にはそうなっている)。

本質的、哲学的、達観視しているとでもいいましょうか。科学的な証拠を示すことはできないために宗教的といえばそうかもしれません。

※ちなみに科学的な調査結果においても、自己相似的なパターンというフォーメーション(「フラクタル」のこと)は、マーケットの基本的な特徴の一つであることが明らかになっていると書かれています。根拠は書かれてないですけど。

受け手としては、彼らを信じるか信じないか、それしかありませんね。私はエリオット信者(「エリオット・マン」と表現されています)になるつもりはありませんし、最大の興味はお金を稼げるのかどうか、まずはそこです。

コリンズへの手紙

1934年の高値と安値

1934年の高値と安値

画像引用元:1934年のチャート(ヤフーファイナンス)|ダウ平均マン

コリンズへの手紙の中で言及されているのですが、1934年の4月に107ドルを付けたとき、以降の85ドルという底値とそこに到達する日を、エリオットはだいたい予想していたそうです。

エリオットが発見した、株式相場の値動きの中での3つの特徴・・・

  1. マイナー、インターミィーディエット、メジャーな波動の終了時点で、ほぼ必ず反転のシグナルを出す。
  2. 株価の動きを6つの波に分類する。
  3. 株価が1932年に底を打ったときから83%正しかった時間の要因を扱ったもの(例外:ダイバージェンス)。

これらの3つの特徴(ダウ理論ほどメカニカルではないが、ダウ理論に欠けている「予測価値」を付加するもの)については、今のところ私にはよく理解できません。

反転のシグナルを出すのは、マイナー以上に限ったことなのかというのは若干の疑問です。波はフラクタルといいつつも、多少の見え方の違いはあるのかなと思います。

参考:トレンドの最も大きな段階においては、|5つの波のパターン、「波のモード」

ちなみにこの手紙は1934年11月28日付けなのですが、3つの特徴はこの半年前に発見したそうです。エリオットの波動原理の誕生は、1934年、約85年前ということになるでしょうか。

参考:9つの波の段階

  1. グランドスーパーサイクル:○Ⅰ、○a
  2. スーパーサイクル:(Ⅰ)、(a)
  3. サイクル:Ⅰ、a
  4. プライマリー:①、○A
  5. インターミィーディエット:(1)、(A)
  6. マイナー:1、A
  7. ミニュット:○ⅰ、○a
  8. ミニュエット:(ⅰ)、(a)
  9. サブミニュエット:ⅰ、a【最小単位:時間足】

参考:9つの波の段階|5つの波のパターン、「波のモード」

広義のコンセプト(The Broad Consept)

1930年代、エリオットは「波動原理」を発見した。

パターン、「形(Form)」、13のパターン、「波」、波動パターン、フラクタル・・・など。パターンは形という点では反復性があるが、出現する時間と大きさでは必ずしも反復性は見られない

13のパターンについては、フィボナッチのところででてきます。

参考:波動原理の構成におけるフィボナッチ数学

波動原理は最も優れた株式相場の予測ツールであるが、本来的には予測ツールではなく、株価の動きを詳細に記述したものである。しかし、分析のためのコンテクスト(Context:脈絡、状況、前後関係、背景)を与えたことには価値がある。波動原理には多くの分野の人間の群集行動が反映されているが、それがとりわけ際立つのは株式相場である。

ここで、「普通目盛」と「半対数目盛」のことがでてくるのですが、何のことかわからないので少し調べてみました。

半対数目盛」:グラフを作成するにあたって、一つだけ突出した数値があると他のものがわかりずらくなる。そのため、目盛間の幅を調整するらしい。そうすることで、すべての数値がわかりやすく、比較しやすくなるそうです。

普通目盛だけでなく半対数目盛も用いるほうが、波動原理に対する理解は深まるということです。

参考:目盛り(普通目盛り、半対数目盛り)

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