チャート例
書籍(「エリオット波動入門」)に載っているチャート例、2つです。2つともダブルジグザグの例です。
1975年、NYダウ
横ばいの修正波の中での急激な上昇、からの最初の戻しの場面です。第2波、若しくはB波を予想します。
画像引用元:Elliott Wave Principle ( A Short Course ) Part 2|Traders Laboratory
上図では、W波とY波の両ボトムがほぼ同じライン上に位置しているのですが、書籍の図ではY波のボトムのほうが少しだけ下に抜けています。もし抜けていなければ、ダブルジグザグとしては少々違和感を覚えます。
ちなにみこの例ですが、ダブルジグザグのX波もまたダブルジグザグになっています。
強い上げからの戻しの場面です。右肩下がりで、最終的には安値を更新していますから、ジグザグというのは推進波と変わらないように思えてしまいます。ただトレンドとは逆方向に推進していたというだけで。
衝撃波であれば、同じ方向を向いている3本の波(第1波、第3波、第5波)が必須です。言い換えると、逆方向を向いている2本の波(第2波、第4波)が必須です。まだ感覚的なものになってしまうのですが、波の規模的に同レベルである必要があるでしょう。それらが見当たらないない以上は、たとえダウ理論が崩れていなくても、衝撃波とは判断できないのではないでしょうか。
最初の波は要所要所で重複していないので、素直に衝撃波と判断すべきでしょう。この時点で修正波としてはジグザグ一択になります。その後の恐らくb波であろう横ばい型の修正波、形としては典型的なジグザグになるのではないでしょうか。
ざっくりと3波動、または7波動に見える波です。アクション波はダイアゴナルっぽい形状をしてるものが多いのですが、A波とC波は必ずしも似たような形状になるわけではないようです。
リアクション波については、かなり形状が似ています。1回2回と似たような山が出現し、3回目で崩れかかっています。この流れは衝撃波と同じです。形状が似ているということは、同じ波動を辿っていると私は解釈しています。一連のチャートパターンとして判断すべきだと思います。
真ん中の一番大きなリアクション波ですが、5波動にも見えると思うのですよね。ただ、チャネルラインにしても、オルターネーションにしても、第1波のトップと第4波のボトムのラインにしても、衝撃波と判断するにはすべてが微妙にずれているため、気持ちの悪さを感じます。仮に衝撃波として、副次的な第5波を5波動と解釈してしまうのは、決定的な間違いだと思います。
ラべリングに関しては、こじつけの作業という側面もあると思っています。ルールを破らずに、どうこじつけるか。こじつけることができれば、とりあえず合っている。逆に、どうやってもこじつけることができなければ、間違っている。そのような感覚で私はやっています。
衝撃波を優先させるために、邪魔な波を修正波に押し付けてしまう、その結果修正波として成り立つのであれば、それはOKというか、修正波とはそういう側面もあると思っています。特にトライアングルとかダイアゴナルの両脇の波とか。衝撃波の最後にくっつけるのか、修正波の最初に持っていくのか、そのようなことがラべリングのテクニック的なものなのではないかと思います。
ずっと疑問に思っていることがあるのですが、3波動の波というのは、基本ジグザグと考えてよいのか?という問題です。5波動の波はすべて衝撃波なのか(衝撃波でもダイアゴナルでもない単なる5波動の波は存在するのか)、というのと同じで、未だに釈然としません。
もやもやしている状態では先に進めないので、私なりの現在の結論を出しておきます。たぶん間違っています。
5波動とか3波動というのは、ある程度大きな時間軸で、チャートパターンとして認識できるのであれば、衝撃波なりジグザグなりフラットなりのそれらのチャートパターンを尊重すべきで、それらにフィボナッチをあてがったりして分析すれば良いと思います。
ではたとえば、トライアングルの副次波とか1分足の波とかなのですが、それらは5波動の推進モードの波、3波動の修正モードの波、と解釈するしかないのではないですかね。明確なチャートパターンはないということです。
上図の矢印を振った波は、一応3波動の波だと思われます。戻る動きがあるのかどうかで、ジグザグかフラットかの区別はできるのかなと思うのですが、では戻る動きがないものはジグザグなのかというと、かなり不格好に見えてしまうものもあります。
そのような波を、ジグザグとして覚えてしまって良いのかどうかが不安なのです。なので今は、単なる3波動の修正モードの波、ということにしておきます。
※追記(2020.7.30)
このことについては考えを改めました。というか私が気が付かなかっただけなのですが、ジグザグのA波、C波、フラットのC波は衝撃波なので、当然延長は起こりますし、バランス的に不格好に見えることも珍しいことではないと解釈しておきます。
まず左の衝撃波ですが、5波動が割と綺麗に認識でき、それぞれ一段下の副次波まで見えています。この流れでいけば、ABCもそれぞれ副次波まで見えていないとと思うのですが、見えていません。X波だけは見えていますが。このような視点で波を見たことがなかったので、これがスタンダードなのかはわかりません。
衝撃波と同じ感覚(波の段階)で見ると、ダブルジグザグは7波動に見えます。最初のa波は5波動なのですが、下落の勢いがあると判断すべきなのでしょう。5波動に見えなくもないX波ですが、若干怪しさもあるので3波動としておきます。計算すると0.663の戻りなのですが、かなり低い浅い戻りと解すべきなのでしょう。この時点でジグザグが濃厚になると思います。
次のY波のb波ですが、計算すると0.807、これもかなり低い浅い戻りという解釈になるのでしょうか。少なくともフラットではないわけです。目標値はどこだったのか、結果的には先立つ衝撃波の副次的な第1波のトップとなったようです。機能していそうなフィボナッチは探すことができませんでした。
どうも気になるので上図を描いてみました。私のイメージです。
まず衝撃波と同じ感覚で修正波を見ると、(A)波は副次波までは見えていないということです。修正波は、出だしのA波が5波動なのか3波動なのか、これはその後ジグザグになるのかフラット、トライアングルになるのかの分岐点になる事柄ですから、かなり重要だと思っています。ただ副次波が見えることを期待していると、衝撃波と同じ段階では見えないということです。
この例だけでそのように考えてしまうのは早計なのでしょうが、衝撃波と修正波では波の見える段階にズレが生じるかもしれない、ということは意識しておくべきでしょう。
また波を見るにあたって、波の規模を意識しておかないといけないと思っていたのですが、それを一層強く感じました。まだなんとなくの目分量でしか判断できませんが。上の例でいうと、シングルジグザグとして終わってしまったら、波の規模的には先立つ衝撃波と釣り合いが取れないというか、合ってないと思うのですよね。シングルジグザグで修正波が終了して、新たな第1波が始まると判断してしまうのは怖く感じます。
1977年、S&P500
修正波からの上げ、の後のジグザグです。リトレイスは0.456です。上のチャートは半対数目盛のため、そこまで下げているようには見えません。
X波に関しては、副次波からいきなりX波という格上げのラべリングになっているように見えます。これがX波のスタンダードなのかどうかはわかりません。
リトレイスはそれぞれ、0.431、0.573、0.565です。0.618ぴったりにはならないとしても、0.500近辺も多いのでしょうか。目標値はどこだったのか、計算上は0.456になりました。
大豆先物
これはジグザグのチャプターに載っているチャート例ではありません。リトレイスがほぼ0.618で、ここまでぴったりであれば、これだけでジグザグと判断しても良いように思います。
まとめ
チャート例がもう少し欲しいところで、数をこなせば、ジグザグのパターンというものがより鮮明に見えてくるように思います。とりあえずジグザグの特徴として覚えておきたいのは、
- A波は下落の勢いがある。
- B波のリトレイスは、0.618(0.500)が基本。
- 目標値も、0.618(0.500)が基本。
この3つです。これらに注目するだけで、ジグザグとしての当たりはかなりつけやすくなるように思います。
注意点として、A波の波の段階です。先立つ衝撃波とずれる場合もあるかもしれないので、逐一衝撃波と見比べておくことが必要に思います。
また、ジグザグが終わった後の動きも大事です。そこで修正波が終了してトレンド転換になるのか、それともX波が出現してまだ修正が続くのか。次に出現する波が5波動なのか3波動なのか、を見ておくことは必須だと思います。
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