上放れ、下放れ

出来高の増加

出来高と上放れ

出来高と上放れ

「平行なチャネル」や「ダイアゴナルトライアングル」において、

  • 出来高が減少する場合:第5波の終点が上限ラインに、①接するか、②届かないか、を示唆している。
  • 出来高が増加する場合上側ラインを上抜くシグナル「上放れ(Throw-over)」。

チャートを分析する際に、まず最初に出来高をチェックするクセをつけておきたいです。この書籍(「エリオット波動入門」)で出来高に注目しているのは、他に延長の場合があります。

参考:出来高(延長の予測ツール)

順序を逆にしたくはありません。出来高の増加があるからこその上放れであって、上放れありきだと、単にトレンドラインの引き方が間違っているだけなのに、それに気づいていないだけかもしれないからです。

「平行なチャネルライン」と「ダイアゴナル」、一応この2つ限定のガイドラインです。しかしダマシが起きそうな場面では、共通して使える知識だと思います。大口投資家などの仕掛ける側の人たちは、ばれてしまっては元も子もありませんから、ひっそりと仕掛けたいはずです。しかし出来高までは、隠せないということですよね。

それと出来高が減少する場合ですが、「接する場合」と「届かない場合」があります。前回の学習項目のチャネルラインで、接する点としては最低でも4つ欲しいと思っていたのですが、第5波に限っては、届かなくても波動原理上は認められていると覚えておきます。

参考:チャネリング(Channeling)

上放れのチェックポイント

上放れ地点の近くで小さな段階の第4波が、上側ラインのすぐ下で横ばいの動きをしているときは、

まもなく第5波が大量の出来高を伴って最終的にその上側ラインを上抜くことになる。

小さな段階の第4波

小さな段階の第4波

最後の文言「・・・上抜くことになる。」ですが、この書籍では珍しく明言しています。強さを感じます。「出来高の上昇」と「小さな段階の第4波の横ばいの動き」、この2つの条件が揃えば、相当高い確率で上抜くのでしょう。

ただしあくまでも2つの条件が揃っていないといけません。横ばいの動きがあったとしても、抜けさえしなければ、一応は単なる衝撃波いえばそうなのです。注意喚起といいましょうか、抜けるぞ抜けるぞと思わせておいて、仕掛人がスイッチを入れて抜けさせて、一気に落とすと。

下放れ

下放れ

下放れ

  1. 先立つ第4波が下放れることもある
  2. 第5波の副次的な第2波が下放れることもある
  3. 下側のTL(トレンドライン)を割り込んだ株価がその直後に急反転する。

こちらの条件は、「・・・こともある。」ですから絶対ではありません。ラインを抜けてからの急反転ですから、ダマシといえばダマシです。言ってみればこれが最初のダマシで、本命のダマシの序章のようなものでしょうか。

ラインの引き直しについて

前回の学習項目「チャネリング」ですが、そこでは、チャネルラインは最新の状態を保っておくために、第4波の終点がずれたら、2-4のラインは引き直すと覚えていました。しかしそれは、あくまでも第4波の終点がラインに届かない場合限定でした。

今回の「下放れ」については、上述したような理屈から、安易にチャネルラインを引き直してしまうのは止めたほうが良いのではないでしょうか。下放れる波は、第4波または第5波の副次的な第2波と詳しい説明をしてくれてますから、まずはその確認をしてから、引き直すかそのままにしておくか判断すべきでしょう。もちろん反対側のチャネルラインの状況も関係してくると思います。

小さな段階の上放れの波を確認するのは難しい

エリオットは、より小さな段階のチャネルは、よく最後の第5波で上抜かれるので、大きな段階で上放れが起こったときに、それよりも小さな段階の上放れの波を確認するのは難しいと警告している。

ダブルの上放れ

ダブルの上放れ

上図のような感じになるでしょうか。チャネルラインを引くことで、ダブルで上放れが起きていることが確認できれば、説得力倍増で確率の高いトレードができるはずです。しかし小さい波のほうを確認するのは難しいということですから、イメージが湧きずらいのですが、大きい波に埋もれてしまうということですかね。

それよりも、「よく最後の第5波で上抜かれる」という文言が役立ちそうです。第5波だから上抜くかもという予測を立てることができますし、上抜いているから第5波かもという後付けの分析もできます。

チャート例

チャート例1

1976年、上放れのチャート例

1976年、上放れのチャート例

画像引用元:1976年のチャート(ヤフーファイナンス)|ダウ平均マン

とりあえず確認しておきたいのは、①出来高、②第5波の副次的な第4波、③第4波、④第5波の副次的な第2波、⑤下放れからの急反転、です。

上のカウンティングは数本ずれているかもしれません。第4波の下抜けからの、その後の急反転、そして上放れ、までの一連の流れは、上で学習したとおりの動きに見えます。この形は目に焼き付けておきたいです。出来高の増加は、確かに直前の3本は増加していますが・・・。突出高は見事です。

チャート例2

1980年(時間足)、上放れのチャート例

1980年(時間足)、上放れのチャート例

画像引用元:Trader: Dubious Patterns|World Cycles Institute

①出来高、②第5波の副次的な第4波、③第4波、④第5波の副次的な第2波、⑤急反転、すべて確認できません。すべて確認できなくても、上放れは起きるということですね。

1980年、上放れのチャート例

1980年、上放れのチャート例

画像引用元:1980年のチャート(ヤフーファイナンス)|ダウ平均マン

日足のチャートです。出来高の動きは、上で学習したことが一応は当てはまっているように見えます。そして第4波は、やはり下放れしているように見えます。結構再現性がありそうですね。

チャート例3

1930年(月足)、上放れのチャート例

1930年(月足)、上放れのチャート例

画像引用元:Elliott Wave Principle ( Part VI )|Traders Laboratory

上放れする直前の張り付き具合、この動きこそが典型的なのでしょう。第4波の下放れはないのですが、逆にここの張り付き具合も凄いものがあります。下放れしない場合には、このような動きになるものなのでしょうか。

ちなみに上のチャートは半対数目盛のものなので、普通目盛のチャートではこのようなチャネルラインは引けません。

下放れのもっていき方

チャネルラインと下放れ

チャネルラインと下放れ

画像引用元:Elliott wave principle on IqOption|Online Trading Broker Review

チャネルラインを色々と引いている最中なのですが、下放れは上図のように持っていくのはどうかなと思いました。

上放れとか下放れとかいっても、ラインの引き方によっては、上放れにも下放れにもなっていなかったりします。ただそれは、完成された衝撃波にラインを引いたからであって、そのあたりを考慮しないと、今回のガイドラインが全く活かされません。当然なのかもしれませんが、波の動きは順を追って見ていかないといけないなと思っています。

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