序章
- 応用範囲はとても広い。
- 「次に何が起こるのか」、ということを正確に示すものではない。
- 「次に起こらないであろうこと」、を示唆する貴重な予告。
- ほとんど「マーケットの法則」になっている。
マーケットの法則というくらいですから、波動原理の枠組みを超える、トレードにおいて最も重要な手法だと思っています。
オルターネーションの理屈?
どうしてオルターネーションの法則が成り立つのか、そのはっきりとした理由は書いてありません。多少の書いてあることを基に私なりに解釈してみると・・・。2度あることは3度あるといいますが、人は、何かが起これば次も同じようなことが起こるだろうと考えるらしいです。ところが株価というのは、人がそう考えたときには既に先を行っているわけです。
波動原理は、「株価=人間」というような理論ですから、人間の思考がそのまま、つまり同じようなことが起こるだろうと思ったことが株価に反映されても良いのではないかと思うのですが・・・。思考と行動の間のタイムラグみたいなものなのでしょうかね。
リアルでもデモでも、トレードしたことがある人は経験しているでしょう。株価は往々にして、思っていた方向とは逆に行くものだと。オルターネーションも、それと似たような理屈の構造なのかもしれません。
それと「急こう配」→「横ばい」というよりは、「急こう配」→「急こう配にはならない(結果的に横ばい)」という持っていき方のほうが正確だと思います。次に起こらないであろうことを示唆する貴重な予告、ということですから。
何かしら納得できそうな理屈を自分で持っていれば、急こう配が連続で出現した場合でも、「今回はタイムラグが発生しなかったのかな」とか、「横ばいにはならなかったけど、そもそも横ばいになるとは言ってないから」とかの屁理屈に近い考え方で割り切れることもあると思います。
衝撃波におけるオルターネーション
「衝撃波におけるオルターネーション」という表題は紛らわしいです。衝撃波の第1波、第3波、第5波の関係性なのかなと私はイメージしてしまったのですが、第2波と第4波が交互に出現するという、どちらかといえば修正波のお話です。
たとえば上図に描いたような波ですが、実際のチャートを見るとわからなくなります。これは極端なのかもしれませんが、これらに近い波なんていくらでもあると思います。急こう配か横ばいか、その違いは何なのか、私としては「副次波」と「オーソドックスな終点」に頼るしかありません。経験を積めば、見た目で大凡見当がつくようになるのでしょうか。
上の表は、この書籍(「エリオット波動入門」)に書いてあることをまとめたつもりのものです。
参考:修正波
衝撃波の第2波が「急こう配」の修正となるときは、その第4波は「横ばい」の修正になると予想される(逆も同じ)。
「急こう配」の修正
- 前の衝撃波のオーソドックスな終点を超えるような新高値や新安値は含まれない。
- ほぼいつでもジグザグ(シングルジグザグ、ダブルジグザグ、トリプルジグザグ)。
- ときにジグザグで始まるダブルスリー。
確実なのは、最初の波は必ずジグザグであるということです。ということは、最初の波、A波は5波動ということになります。必然的に、修正プロセスのひとつはオーソドックスな終点を超えることはありません。
参考:オーソドックスな天井と底
「横ばい」の修正
- 前の衝撃波のオーソドックスな終点を超える新高値や新安値が含まれる。
- フラット、トライアングル、複合型(ダブルスリー、トリプルスリー)。
結局チェックポイントは2つになると思います。
- 「A波」が5波動なのか3波動なのか。
- 「B波(修正プロセスのひとつ)」がオーソドックスな終点に近づくか否か。
私は以上のように覚えておくことにします。
まれに第4波のところに出現する新高値や新安値を含まない通常のトライアングルが急こう配の修正になることもある。
そうしたときは第2波が横ばいという「別のパターン」になる。
両方向からの分析ができると思います。
- 第2波が横ばい→第4波はレギュラートライアングルになるかも。
- 第4波がレギュラートライアングル→第2波は横ばいかも。
第2波はジグザグ=急こう配、という目で見ていたとして、そこに横ばい型が出現したとすれば若干の異変を感じます。そこで第4波はレギュラートライアングルになるかもしれないと身構えていて、実際にそうなったとしたら、予測が正しかったということになります。
逆に、第4波と思われる場所でレギュラートライアングルが出現していたとしたら、第2波は横ばいになっているかを確認することで、その読みが正しいことの確率が上がるのではないかと。
基本路線は、第2波はジグザグ=急こう配だと思います。その流れで第4波が横ばいになっていれば問題ありません。しかし第2波が横ばいであれば、第4波が急こう配でも問題はありません。ただ、レギュラートライアングルになる可能性もありますよと。
要約(まとめ)
2つの修正プロセスのひとつに、前の衝撃波の終点まで戻るような動き、またはその水準を超えるような動きが含まれたときは、もうひとつの修正波はそうした波形とはならない。
ジグザグだから、ダブルスリーだからという持っていき方ではなく、戻るような動き、超えるような動きが先なんですよね。そのような動きをするものが、ジグザグであったりダブルスリーであったりするのです。
このような動きだけで判断できれば良いのでしょうが、私はこれに、最初のA波が5波動なのか3波動なのかを付け加えたいと思います。
一点、「2つの修正プロセスのひとつ」という文言ですが、最初のB波の動きなのかなと思っています。ダブルスリーやトリプルスリーなどに発展することになれば、最初のB波以降も戻るような動きをする波はあると思うのですが、たとえばX波など。しかしそれらの波は横方向への調整のためのものですから、オーソドックスな終点と絡めるようなものではないと思うのです。複合型の場合、最初の波は、それ以降に続く波とは若干の質が違いがあるのではないかという解釈からです。
参考:しかし複合型では、最初の単純なパターンが、前の波の値幅を十分に修正する。|複合型(ダブルスリーとトリプルスリー)
ダイアゴナルトライアングルの場合
- 第2波と第4波は、オルターネーションにならない。
- 第2波と第4波は、主にジグザグになる。
衝撃波のひとつの形態がダイアゴナルですが、副次波はそれぞれ「5-3-5-3-5」と「3-3-3-3-3」ですから、全く別物と考えています。
ここまで学習した衝撃波のオルターネーションは、「5-3-5-3-5」の「3」の部分です。第3波を軸にした第2波と第4波というシンメトリー的な形状とでもいいましょうか。そのような視点で見ると、ダイアゴナルはトライアングル修正波と同じで「3-3-3-3-3」なのですが、三角形という形の都合上、すべての波が端からずれています。シンメトリー的な部分はどこにもありません。オルターネーションが入り込む余地がないのです。
言い換えると、トライアングルは、中身よりも外見上の形が重要視されるパターンなのだと思います。
推進波の延長の場合
推進波の長さが交互になるように、延長もオルターネーションの法則に従って出現する。
- 第1波が短いときは第3波が延長し、第5波は再び短くなる。
- 通常では第3波に現れる延長が、ときに第1波や第5波に出現することもある。
なんとなく見逃してしまっていたのですが、第1波が延長していないと確信できたならば、第3波が延長というのはほぼ確定なのですね。オルターネーションの法則に従えば。100%はないにしても、第1波や第5波よりも、第3波が延長する確率が高くなるというのは頷けます。
上図は延長の項目で載せたものです。
参考:波の延長は、ひとつのアクション波でしか起こらない。|エクステンション(波の延長)
修正波におけるオルターネーション
上図は、書籍に載っている「修正波におけるオルターネーション」の4パターンです。私の解釈が間違っているかもしれませんが、すべてフラットの副次波でのことだと思います。以下でもまとめたのですが、すべての修正波の中で、シンメトリー的な部分というのは、フラットのA波とB波のみだから、というのが私の解釈です。
上図最後のC波だけはちょっと違うのですが。ちなみに「単純→複雑→いっそう複雑」という順序が逆になることはあまりないそうです。
またバイアスについての言及があるのですが、ジグザグと同じ方向にバイアスかかっているということです。ということは、フラットとは逆方向になります。このことは、以前学習したジグザグとフラットのところで、同じことを感じていました。
チャート例
書籍中は1時間足なのですが、上のは日足です。2つのオルターネーションが含まれています。
1つは、第2波が急こう配、第4波が横ばい、というものです。教科書どおりの展開でわかりやすいです。もちろん後付けの理論ですが。
もう一つは、その第4波の拡大型フラットの副次波です。「複雑なフラット→単純なジグザグ」がオルターネーションになっているということなのですが・・・。
フラットの副次波(A波→B波)のオルターネーション
- ジグザグ→フラット、フラット→ジグザグ
- 単純→複雑(→いっそう複雑)、複雑→単純(あまりない)
勘違いしていたのですが、フラットのオルターネーションは、「修正波の種類(ジグザグかフラット)」と「複雑さ加減」という、2種類あるということだったようです。しかもチャート例を見ますと、たすき掛けのようにお互いが入り混じる場合もあるようで、相当な厄介さを感じます。
こんなに複雑になってしまって、本当に分析できるのかどうかは不可能にも思えてくるのですが、知っていれば大きなヒントになる知識だと思います。
それと今回のチャート例を見て思ったのですが、通常の波か副次波なのかの違いは、見ている人の主観で決めるしかないということです。たとえばここに1枚のチャートがあるとして、そこで同じような段階に見える波は、同じ段階のはずだと思うのです。
しかし今回のチャート例では、同じ段階に見えていても、違う段階のラべリングをしています(第2波の副次波、ABCなど)。波動原理のラべリングって、そういうもんなんだなって思いました。
参考:テクニカル的には「同じ段階」の波であっても、「異なる段階」の波のように出現する。|修正波
オルターネーションの考察
このオルターネーションの法則というものが、相場を読むにあたってどれだけ当てになるのか、本当に信頼できる手法なのかどうかはずっと気になっています。不安要素として、まず勾配型と横ばい型の区別ができないというか、それ以前にまだ修正波を読むことができないというのがあります。
そして副次波や延長波の場合には、このオルターネーションをどのように適用させるべきなのかがあやふやでした。
なんとなくの思い付きで上図を描いてみたのですが・・・。基本路線として、第2波はジグザグ系、第4波は横ばい型、というのがあります。そうすると、波の段階が違うときの境目といいましょうか、そのような場面ではオルターネーションにならなくなってしまいます。
もう1段階複雑にしてみました。やはり波の段階の変わり目で、オルターネーションにはならくなってしまいます。
視点を変えて、完全に交互の形にしてみました。結構すんなりと綺麗に描けました。これで良いのかなと思ったのですが、第2波が横ばい型、第4波が勾配型になってしまいます。
上はこの書籍(「エリオット波動入門」)中、チャート例として一番頻繁に登場するNYダウのものです。つまりエリオットと著者はこのように解釈しているということになると思います。
結論としては、波の段階毎に判定するというか、延長が起きればリセットされるというか、常に基本は、第2波と第4波の比較なのだと思います。少し難しく考えすぎていました。
波の段階の境目では、当然連続して出現することになるのですが、逆に、連続して出現しているならば、延長の可能性を探ることができるかもしれません。このような分析方法が正しいのかどうかはわかりませんが、しばらくはこのような見方をしていきます。
コメント